かわべやすこの英国便り〜SEPTEMBER〜

2013.03.05   カテゴリ » その他

アカンサス、ルリタマアザミ、アネモネジャポニカ、セダム。
秋の庭の花を見ると、胸をしめつけられる思い出がある。十余年前のある秋の日。イギリスで、ずっと私の父親代わりをしてくれていた、Rogerの死を告げる電話が入った。取るものも取りあえず、イギリスに着いたのは、その二日後だった。
庭のワークショップには、小さな苗がたくさん芽を出し、主を失った事実を知ってはいない、その横の、ボーダーガーデンで咲き誇る花たちと、彼を見送りたいと、私は切に願った。
村のフラワーショップで、リースの土台を分けてもらい、フラワーリースを作ることにした。スクールで学んだヒューナル(funeral=葬儀)ワークを、いちばん最初に彼のために作るなんて、ほうとうに皮肉なことだった。
棺に飾るリースは、亡くなった人にとって、いちばん大切な人が贈るという習慣がある。私はRoger夫人にそのリースを贈った。彼の育てた花たちで、彼を見送ることができたと、夫人は喜んでくださった。お世話になった何万分の一かの恩返しができたような気がした。
あの日から、秋のイギリスの庭を見るのは悲しい。その後何度もイギリスを訪れているのに、秋に一度も行かなかったことに、今初めて気付いている。

Garden Style Flower Arrangementより